お正月は美術館へ:クラーナハ展とデトロイト美術館展

img_0499

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

お正月ですが、家族で出かけるというとやっぱり神社仏閣への初詣が多いんじゃないでしょうか。我が家は今年は美術館に行ってきました。上野は国立西洋美術館の「クラーナハ展」と上野の森美術館の「デトロイト美術館展」です。どちらも今月中に終わってしまうので、前から行きたいと思っていた僕にはちょうど良いタイミングでした。我が家で出かけたのは1月2日だったのですが、どうも元旦からやっているらしいです。普段だと土日は結構混み合う美術館ですが、初詣や帰省で人出が分散しているのでしょう、そんなに混雑しておらず、割と余裕を持って見ることができました。

クラーナハは一般的にはマルティン・ルターの肖像画で有名な人です。でも彼の革新性は女性の裸体を、従来のキリスト教絵画の枠組みの中で描くのではなく、背景黒一色みたいなところに裸体だけ描くという、きっと当時は大変センセーショナルなことを始めたことにあるようです。彼の描く裸体は後のルノワールのような豊満さはなく、比較的スリムなんだけど、なんだか妙に肉感的なところがあり、体の一部や顔に透明なヴェールがかかっていたりしているところが却ってエロティックだったりします。当時は貴族の依頼で絵を描いて収入を得たりしたでしょうから、こっそり眺める用の、江戸の春画のような役割を担っていたのかもしれません。それから、写真にもあるユディットのような女傑や悪女モチーフの絵画、また当時の王侯貴族を描いた肖像画に見られる衣装や装飾品、髪の毛の表現の恐るべき繊細さと緻密さ、その表情のアンニュイで複雑な感じは凄いの一言です。また、版画も多く展示されていて、これまた興味深く鑑賞しました。ただ、やや暗めの館内では、版画の細かい部分はなかなか目を凝らしても見るのが厳しいものもあり、こういうのは図録(買いました。2600円にしては素晴らしく内容充実しています)で見るのが良いようです。何れにしてもこれだけきちんとキュレーションされた企画展はあまりないので、あと一週間ぐらいしか期間が残っていませんが、興味のある方は足を運ばれて損はありません。

img_0466-collage

さて、美術展のはしごなんて初めてやったんですが、上野の森美術館でやっているデトロイト美術館展にも行ってきました。こちらは日本人にも馴染みの深い、ゴッホ、セザンヌ、モネ、ルノワール、モディリアーニ、マティスにピカソといった印象派以降の有名どころがずらりと並ぶ、なかなか壮観な展示でした。面白かったのはフラッシュ無しでの写真撮影OK(曜日が決まっているようでしたが)、SNSなどへの投稿も一部の作品を除いてOKになっているところ。ちなみに上の適当に作ったコラージュは全て投稿OKのものです。これはなかなか良い取り組みだと思います。今やSNS経由の口コミこそマーケティングの主流の一つとも言えるので、知り合いが「この絵がすごくよかった!」と写真付きでツイッターやフェイスブックに投稿していると、じゃあちょっと行ってみようかという気分になりますよね。もちろんイマイチな点もあり、シャッター音があちこちで聞こえること(僕はシャッター音がしないOneCamというアプリを使っていました)、撮影目的でやたらと長く絵の前に陣取ってしまう人がいたりするのはちょっとどうかなとも思いましたが。

鑑賞の後は、駅の近くの一蘭(有名な博多ラーメンのチェーン店)に行きましたが、こっちの方が美術館のチケット売り場より断然長い行列ができてましたね。

正月の美術館巡りというのは何れにしても、普段より時間的に余裕があり、混雑もあまりないという観点からも結構良いのではと思います。我が家は正月は炬燵でひたすらテレビ番組を見る習慣はないので(そのせいで箱根駅伝もいつも見られないのですが)、また来年も行くかもしれません。

 

どこを走るか、について

皆さん、めっきり寒くなってきましたけれど、風邪などひかれていませんでしょうか。あと少しで秋も終わりですね。

ランナーの皆さん、普段どこを走られているでしょうか。大半の人が、車道脇の歩道を、道行く車と並行して走っているのではないでしょうか。僕も以前はそうしていました。家の近くの幹線道路沿いをずっと走って、ある地点で折り返して戻って来る、そういうコースです。

数年前に、自宅から2kmほどのところに、素晴らしいコースを見つけました。小高い丘の間にある田園地帯の周りにある農道を巡るコースです。田園地帯の真ん中を、川が流れていて、その川の脇の土手というか畦道のようなところも走れるようになっています。そこは春になると菜の花が咲き乱れ、空は高く広く、もうゴールデンウィークの頃からたくさんのトンボが飛ぶような自然豊かな環境です。僕はそこをホームコースにして、自宅からそこまで2kmを走っていき、そのコースの一番手っ取り早い周回部分が2kmほどなので、そこをぐるっと一周して、また自宅へ戻る、だいたい6kmほどのメニューを走ることが常でした。


でもここ一年半ほど、仕事の環境が変わったり、その他色々と時間的な制約もあり、走ることへのモチベーションがかなり低くなってしまいました。いざ走ろうと思っても、ホームコースまでの2kmがしんどいのです。ホームコースは走っていて気持ちいいのですが、そこに至るまでの幹線道路沿いの片道2kmが。道がとても狭いのと日陰が多いのと、車の騒音と排気ガスが嫌なのと、色々理由はあります。モチベーションが高い時は、特に気にもしなかったのですが…

そこで考えたのですが、もう割り切ってホームコースまでは車を使うことにしました。車なら5分ほどで行けます。で、そこで6kmなりを走って、また車で帰る。やってみると素晴らしく快適です。ガソリン代はかかるのですが。例えるなら、入浴するのに、シャワーで済ませるのか、温泉に入るのかぐらい違いました。

何を贅沢なことを言ってる、とも思うのですが…果たしてこんな状態で、東京マラソンまでに、それなりに走れるだけの力を取り戻すことができるでしょうか。

ワラーチ新調しました。


ワラーチを2年ぶりくらいに新調しました。日本だとTedのルナサンダルか、自作派が主流を占めてる感じがしますが、僕はずっとXero Shoesを使ってます。でもXero Shoesも最初は自作だったんですよ。Vibramのシートと紐が送られてきて、足の形を取ってハサミで切れ、紐の結び方はこうだって動画で見ながらやって、僕の最初の三足ぐらいのワラーチはそうやって作りました。今はサンダル型ではないちゃんとしたシューズも作るようになりましたけど。

僕が愛用しているモデルは写真のAmuri ventureと、Amuri cloud。下の写真の方がcloudで、2層構造のソールで軽量化されてます。2年前に買った同モデルと比べて、紐の調節がしやすくなっていたりと、地味に進化の跡が見られました。

自作も楽しいけど、ソール全体の形状とか、鼻緒の処理とか、紐の調節のしやすさとか、ヒールカップが付いていたりとか、色々な利点が既製品にはあるし、品質はルナサンダルと比べても遜色ないと思います。そもそもルナサンダルは値段が高すぎるし、ソールが厚すぎると個人的には思っていますので、Xero Shoesの、二足でアメリカからの送料込みで大体一万円というのは、コスパはかなり高いと考えます。


今日さっそくventureの方で5kmほど走ってきましたが、足に馴染みますね。快適です。なぜか僕の足には軽量化されていないこちらの方が相性がいいようです。

静かな年末

ちょうどクリスマスの日が仕事納めで、その日から息子は学校の部活で合宿へ。今日の午後帰ってきますが、昨日は静かな一日でした。

久々にTSUTAYAでDVDを借りて、ビールを飲みながら映画鑑賞してみました。

1本目は機動戦士ガンダム THE ORIGINE 1。安彦良和さん原作で、ファーストガンダムを再構成した名作漫画をOVAにしたの。冒頭はルウム戦役の戦闘シーン。ファーストガンダムで、言葉だけで伝えられる「戦艦5隻を沈めた赤い彗星」の戦いぶりが見られる。絵はよく動くし、実にかっこいい。残弾1か、の引きもいい。けれど、やはり本作はその後の、シャアの少年時代のヒューマンドラマが見もの。特にどれを取っても曲者しかいないザビ家の面々、若きランバ・ラルと峰不二子のような活躍っぷりに可愛さ満点のハモンさんが素晴らしく、ファーストガンダム世代のおっさん達をニヤニヤさせてやまない作品に仕上がっていました。これは続きが楽しみ。

2本目はミッション・インポッシブル最新作、ローグ・ネイション。こちらは酔っ払って観ていたので、話の展開の速さに思考がついていけませんでした。特にヒロイン役の行動がさっぱり理解できなくて困りました。ウィーンの国立歌劇場のシーンはなかなか良かったんですけどね。

ベン・ハーを鑑賞しました。 古い映画もいいものだ。

夏休み中なので、多少ゆっくり映画など観る時間がある。で、昔見たんだけどあちこち記憶が曖昧なので、こういう時にこそ観たいと思ってDVDを買ってあった『ベン・ハー』をソファにふんぞり返って観た。なにせ、本編222分の超大作。この前長いなあと思いながらも面白かった『インターステラー』よりもさらに長い。

でも、一回観ているにもかかわらず、長いにもかかわらず、ふんぞり返っていた体がだんだん前のめりになって画面に惹きつけられていった。面白い。以前見たのは確か大学生の頃だったろうか、その頃に比べて、四十路すぎのおっさんになった今、いろいろと知識もついてきているので背景事情もよくわかるから余計に。

特にローマ帝国・キリスト教関連の知識が以前は全然なかったので、主人公ユダ・ベン・ハーのサイドストーリーになっているイエス・キリストの生誕から十字架上の死までの経緯、ベン・ハーに与えた影響が今はよくわかる。ネット上のレヴューを読むと、宗教色が強すぎて、という感想がちらほら。日本人の目から見るとそうなんだろうけど、この時代、キリストの話を抜きにして語るのはちょっと難しいと思う。

でも、その辺の背景事情は例えわからなくても、面白さは減じることはない。古代ローマの絢爛たる風俗・文化の再現度合い、そして前半のクライマックスである戦車競技の迫力たるや、よくまあ1959年の映画でここまでのものが作れたものだと思う。今だったらCG処理になるところが実写だもんね。四頭立ての駿馬が引く戦車が何台も猛スピードで競技場を駆け抜ける様、そしてベン・ハーと敵役メッサーラが競り合った挙句の、メッサーラの悲惨な最期。カメラワークやら画面構成やら、感心することしきり。あと、馬の撮り方がうまい。馬がすごく可愛く見えてくる。馬を見る目に愛情が満ちている。

戦車競技の後は、日本人にとっては受けが悪いと思われる、ベン・ハーが業病にかかった母と妹を探して、最終的にキリストの十字架上の死に伴う奇跡で業病が癒されてハッピーエンドを迎える。ちょっと長いんだけど、十字架を背負うキリストに、ベン・ハーが水を差しだすシーンは、前半、ベン・ハーがガレー船送りにされる途中で、水も与えられず鎖で繋がれて徒歩で搬送される途中で、たまたま出会ったキリストから水を飲ませてもらって生きる力を与えられるシーンと対になっているし、文芸映画としては必要な画竜点睛。戦車競技で終わってたら何も後に残らないハリウッドアクション映画と同じだ。だから戦車競技の後の、敵役メッサーラの死に立ち会うベン・ハーの複雑な心境(もともとふたりは竹馬の友だったのに)、苦々しい表情から、ラストの救済までのドラマが生きてくる。ちなみにイエス・キリスト、最初から最後まで、いちども顔が写らない。これは非常によくできた演出だと思った。

やっぱりアカデミー賞11部門受賞は伊達じゃない。そんな名画も、いまやAmazonで1000円程度で買える。でも本当は劇場の大画面で鑑賞したかったな。

ベン・ハー 特別版 [DVD]
 

ヘレン・シャルフベック展に行ってきました。


平日の午後、ふと思い立って休みを取り、ヘレン・シャルフベック展に行ってきた。この北欧の女性画家については全然知らなかったんだけど、少し前の日経新聞日曜版に特集が組まれていて、フィンランドの画家であること、大好きなシベリウスと同時代に生きた人であることから、興味を持っていたのだ。

上野にある東京藝術大学の美術館で開催されている。千代田線を根津駅で降り、少し歩いた。

純粋にシャルフベックの作品だけなので、全部で80数点、割と小ぢんまりとした展示。画家の生涯を追うように、年代別に5つのテーマに分けていて、作風の変化もわかりやすい。派手なところは全然ないんだけれど、フィンランドの自然を反映したかのような色づかい、自身障害者(幼い頃からずっと脚が悪かった)であることから来るのかな、描かれている人物の表情の、悲しみを湛えた優しさに心打たれる。予想外に良かったです。

個人的には初期の作風が好き。脚が悪いために自宅にこもりがちで、自画像を描くことが多く、死を見つめて描かれたかのような晩年の作品群は、画家の心情がリアルに表出されていて、見ていて少々辛いものもある。


絵ハガキを何枚か買いました。東京のあとは仙台、広島、神奈川の葉山へと巡回する予定。多分、何度も企画される種類のものではないから、これだけまとまった展示を見られるのは今回だけじゃないかな。

頭蓋骨陥没骨折顛末記

17334825616_866978606e_o備忘録として。

3月の終わり頃、大きな仕事が終わった解放感から、気が緩んで軽くアルコールが入った状態でサウナに入り、階段状になっているサウナの座席の上の方から寝落ちして転落、サウナの壁にしたたかに前頭部を打ち付けた。ぶつけた瞬間目が覚めて、サウナをすぐに出て水風呂で額を冷やしていたが、痛みがなかなか引かない。とりあえず風呂場を出て、鏡でぶつけたところを見ると内出血してる感じと、なんだかちょっと凹んでるような感じ。あれ?と思っているうちに鼻血が断続的に出てきて、これはやばいなと思って救急車を呼んでもらった。

ぶつけた瞬間から終始意識ははっきりしていたけれど、とにかく頭を打っているのだから脳の内部がどうなっているのか不安だ。全裸で運ばれるのも嫌なので、とにかく着替えて救急車を待つ。 田舎で夜なのに、救急車は割と早く来てくれた。担架に乗せられて車内へ。あれこれ話しかけられて、名前や年齢、ぶつけた時の状況などを聞かれる。血圧を測定したり、目の前に指をかざされて、何本に見えますかとか指の動きを追えるかなどをチェックされる。救急車はなかなか発車しない。搬送先が見つからないのだ。「ああ、これが例のたらい回しか」と思った。

救急隊員と電話の向こうのやり取りはすぐ近くだから聞こえるし。頭をぶつけているので、脳神経外科の診察ができるところをさがしてくれているのだが、なかなか見つからない。4軒目でやっと受け入れOKになる。この間、約30分ぐらい。少し離れた病院だったので、移動にも30分くらいかかる。緊急性のある患者なら、この間に命を落としてしまうこともあるんだろうなあと思った。 搬送されて、すぐにCTスキャン。少しして呼ばれて、説明を受ける。「意識もはっきりしているし、幸い今のところ脳にも損傷はないようです。」よかった。「でも、いいことばかりではなくて、ここのところ見てください」と担当の先生が画像を指し示す。「額のところ、頭の骨がここは二重になっていて空洞があるんですけれど、ここの外側の骨が折れてますね。」 陥没骨折の部位は前額洞というところだった。空洞は鼻につながっていて、鼻血はここが傷つけられたから出てきているのだろうとのこと。骨折は過去に3回経験しているが、頭の骨の場合、ギプスとかで固定はしない。関節じゃないから、してもしょうがないんだろう。なんならヘルメットでも被ったらいいわけだし。 結局その日は入院もせず、翌日もう一度見てもらい、悪化などしてないことを確認、自宅近くの病院で再度診察してもらえるよう紹介状を書いてもらい、CTスキャンのデータを貰った。

その後、自宅に近い病院に何度か通ったが、脳神経外科は最初だけで、そのあと形成外科に行くことに。脳に損傷がなければ、あとは見た目の問題なんだそうだ。ふうんと思ったけど、骨折の部位が凹んでくる可能性があり、そうなると骨が固まらないうちに手術をしたほうがいいという。手術ね、ちょっと額のところを切って、直す程度で日帰りかなと思っていたら、全身麻酔で、入院10日だという。しかも髪の毛を剃って、そのまんま東の額のラインみたいな感じで頭皮を切開して、ベロンとめくってとかちょっとやだ。そんなことになったら当面人前に出られなくなるではないか。先生は手術するなら骨が固まらない2ヶ月以内がいいという。(ちなみに大変美人で見た目もお若い先生でした。切られるならこの先生にならいいかもとちょっとだけ思った)でも結局、悩んだ末に手術はしないことに。どうせ40過ぎのおっさんが、今更見た目を気にしたところでどうなるということでもないし、機能的に問題ないならそんな大手術は回避すべきだろう、と。

飲酒は多少しても良いが、泥酔して同じところ打ったら、今度は命の保証はないからねと言われて、ちょっと控える気分に。趣味はランニングなのですが、走ってもいいですかと聞いたら、ランニングは結構体に衝撃が加わるので一ヶ月は控えるようにと言われて大いに凹んだ。

そして昨日、後天的な異常が脳に出ていないかどうかをMRI検査でチェック。脳自体には何の異常もなく、めでたく無罪放免。陥没骨折したところは相変わらず打撃などが加わらないよう注意する必要があるが、ランニングはしてもいいことに。早速今朝走ってきたけれど、2月ぐらいから仕事が立て込んだせいもあり、全く走っていなかったので、身体が鈍ってる鈍ってる。今月末に山中湖ハーフにエントリーしてるんだけど、まともに走れるんだろうか。

それにしても今回はいろいろと身に沁みて反省しました。はい。もう若くもないし、いろいろと気をつけます。